二つの商業核(天神地区と博多駅地区)【第1弾】

二つの商業核(天神地区と博多駅地区)【第1弾】

福岡市の二大都心である天神地区と博多駅地区ですが、平成29年公示結果をみてみると若干異なる様相が認められます。中央区(天神2ポイント・大名1ポイント)の上位3地点の上昇率が10~13%に対し、博多区の上位3地点(駅前2ポイント・駅東1ポイント)の上昇率は20~27%と、大きな格差が生じています。また、その結果、天神地区の最高価格と博多駅地区の最高価格の比が、平成22年の100:37.0から100:54.1まで縮まってきています(参考①参照)。更に、平成29年公示では博多駅界隈の6ポイント(駅前4ポイント・駅東2ポイント)が、リーマンショック前の平成20年公示価格を超えたのに対して、天神界隈ではそのようなポイントは現れていない状況となっています(参考②参照)。
背景として、①博多駅周辺ではJR博多シティと九州新幹線が開業し拠点性と集客力が増加したのに加え、博多駅中央街の再開発計画の進展及び新たな再開発並びに整備計画等が発表され、地下鉄七隈線の延伸計画とも相俟って、将来に対する期待感が天神地区より大きい。②天神界隈の地価水準が既に高位であること(天神界隈は博多駅界隈に比し初期投資額が大きい。例えば現在市場の牽引役となっているホテル関連投資家又は開発業者にとっては、収益性にそこまで差が無いため、博多駅界隈を選好する等)。③高い地価を支えている天神エリアの収益性の高い商業施設等であるが、かかる施設利用の消費者行動に変化が現れつつあること等(通販販売の台頭、インバウンド需要(特に高級嗜好品)の鈍化傾向等)が要因として考えられます。